03月の記事一覧
03/30
Sat
Category:野の花
野の花 100%ピュアウール

東大宮「野の花」
断熱材が入りました。
今回はわけあって100%ピュアバージンウール、暖かそうですね。
少し押しこみ過ぎなところがあるので週明けに修正してもらいます。大工さん曰くいつものウッドファイバーより柔軟なので施工ら少し楽だとのことです。
性能的には、ウッドファイバ―とほぼ同等
高性能GW16Kともほぼ同等で省エネ等級4を設定しているので天井では200mm必要です。
透湿性もウッドファイバ―とほぼ同等なので結露計算の上で内側にビニールを貼らない工法で行きます。
外部に合板の使わないので壁内に侵入した水蒸気はウールを通過し、外部側の通気層から排出されます。
外部にべニアを貼る貼らない、内側の防湿ビニールを貼るのか貼らないのか、内壁の仕上げ材の透湿率はどうか、外壁通気をどう考えるか、自然素材の使い方は特質を理解していないと壁内結露などの事故につながりますので経験と知識が必要です。
ただただ自然素材がいい、というだけでは使わないほうがいいかもしれません。特に見えなくなってしまう部分には。
断熱材比較


03/29
Fri
Category:山と材木
コバトンが送ってきてくれました。

コバトンが送ってきてくれました。
県産木材CO2貯蔵量認定書
市ノ川の家とB/storage完成事例がどれだけのCO2を蓄えているかの証明です。
埼玉県のCO2吸収に貢献していますよ。
2012年度埼玉県の新築住宅で認証取得したのはたったの10件です。
そのうちの2件が当事務所であることはすごいですね。
まあ別の意味では、「労力がかかりメリットがすごく薄い」ということで取り組む人が少ないということですが。
でも面白いですよね。
そのお家に使った地域の材料がどれだけのCO2を吸収しているのかがわかるんですから、しかも埼玉県の材料なので輸送にかかるCO2マイレージも極端に少ないんです。
外材だったら船で運ぶ燃料から陸送の燃料からとほうもないCO2を逆に排出しているわけですからね。
この証書は建て主さんにお渡しします。
後日埼玉県のHPにも写真と一緒にUPされます。
お楽しみです。

03/28
Thu
Category:設計仕事
模型くんがOZONEに出向になります。

2011年に竣工した雉やまの家のスケール模型です。
新宿パークタワーOZONEにしばらく出向です。
以前も登録建築家模型展イベントではパネルと一緒に営業に行ってもらいました。
今川越で着工中の「優の家」の建て主さんはアーキに問い合わせる前にOZONEに出かけた折に見てくれていたそうです。
ご縁があったんですね。というか模型君が営業してくれていたのですね。
今回は3模型だけの展示という企画ですが応募したところ展示していただけることになりました。平屋が特徴的だったのかもしれません、が、それはいいんですが、よく見るとスチレンボードなので少し黄色くなってきています。梁も折れたり、このままではまずいので、今日は名里君が屋根を葺き替え、折れた梁を架け替え、植栽を植え直してリフォーム完了です。
スチレン模型の寿命は、綺麗なのはまあ1年、持っても2年程度、はかない運命です。だんだん黄色くなり寂しくなります。
リフォームしてもこれが最後の営業仕事になると思います。
がんばれ!
OZONEは住まいづくりに関わる情報がいっぱいあり、メーカーの宣伝の場ではなく高いアンテナで良質な情報を発信しています。
お近くにお寄りの際はぜひお立ち寄りいただき、建築家登録のブースでは多くの建築家のデータが揃いますし、アーキクラフトの事例集もその中にストックされていますのでのぞいてみてください。
自分でいうのもなんですが、いろいろな意味で一定のハードルを越えた事務所、建築家、工務店が登録されていてプロ同士でも刺激になる場所です。
ハウスメーカーとは違う家づくりを検討中の方はとても参考になる場所だと思います。
OZONE家づくり

03/27
Wed
Category:設計仕事
ダイニングは多機能空間 04

アーキクラフトでは固定観念に縛られないようにあえて聞くことがあります。
「改めてダイニングスペースが必要ですか」
「リビングで食事でもいいのではないですか」
たとえば食事をする目的だけのいかにも「食卓」という形、サイズのテーブルをダイニングとしての空間に押しこめるのではなく、4人家族だけれど8人から10人座れるくらいの大きなテーブルをリビングに置き、多機能なテーブルにするのもいいのではないかと思います。
4人掛けの食事をするテーブルでお父さんが新聞を読み始めました。邪魔ですね。うっとうしいですね。
これが8人・10人テーブルではどうでしょうか、お父さんが晩酌をしている反対側で子供たちが宿題をしていても、お母さんが家計簿をつけていても大きなテーブルのおかげでコミニュケーションが取れます。
誰かが場所を代わらなくてもいいのです。これは家族にとってとっても楽しいことなんだと思います。
以前書いたようにこの時のくつろげるお気に入りの椅子があればなおいいですね。食事の後のくつろいだ会話にもつながりそうです。

また、居心地がいいのでいつもその場所に座るようになり、お父さんの場所、お母さんの場所が自然とできそうです。
なんだか昔の家のようで懐かしい感じもします。
「市ノ川の家」ではテーブルをさらに堀座卓とし、昔の囲炉裏のような場所にしました。
4人家族ですが10人は座れる多機能テーブルになりました。
お母さんたちがお茶を飲んでいる反対側では子供たちがテーブルの上におもちゃを広げています。
このような空間の場合に改めてソファーを置く必要はありません。
ソファーに座る時間がどれだけありますか、しかも家族全員がそこに集いますか、それを考えたときにソファーを置く空間は無駄です。
すわり心地の良い椅子で来客も迎え入れることが出来るのが大きなテーブルの優れたところです。
現代のリビングは多様性が必要です。
みんなで同じTVを見て過ごす時代ではありませんね、本を読む人、インターネットに入り込んでいる人、メールで会話している人、みんな過ごし方が違っても同じ空間に心地よく一緒にいられる。
そんなダイニングやリビングを創りたいですね。

03/23
Sat
Category:設計仕事
ダイニングは多機能空間 03

さてやっとここからが多機能空間のお話です。
以前から茶の間周りには家事にまつわる家計簿や道具類はありました、小さな整理棚を置いてこまごまとしたもの使いやすい位置に整理してあったのではないでしょうか、現在でも同じことが言えますが、家事に欠かせない道具は変わりました。
ダイニング周りにあると便利な家事にかかわる道具類は、まず電話・FAX・パソコン・プリンターなどがありますね。
また、料理の本や、お子さんが小さい場合は絵本から、ちょっとしたおもちゃ、学校関係のファイル、地域の連絡簿などダイニングテーブルの上に広げたのではとんでもないことになります。
そこでそれらの道具が置けて作業が出来る家事コーナーを作ることをお勧めしています。
家事コーナーを配置するに当たり大切なのは、キッチン及びダイニングとの動線です。主婦が家事をするものとは決まっていませんが、今回は調理をする人が主に家事をするという設定でお話しています。
前回お話ししたキッチンとダイニングの関係で、パブリック性のあるキッチンや、フォーマルなキッチンのお話をしましたが、家事を主にどこで行うのかを決めておかないと、結局ダイニングテーブルが作業台となり、瞬く間にそこはプライベート空間になってしまいます。
動線的にどこに配置すればいいのかは基本のプランによって変わりますが、料理に関する本なども考えると、ダイニングとキッチンの間でダイニングからも移動しやすい場所が便利です。
家事コーナーがバランスよく配置できるとダイニングが心地よくなります。
また、家事コーナーは今後HEMSや家電情報版、セキュリティ―管理などさらに多様化し、家をコントロールする場所になるでしょう。
家事コーナーの近くに絵本や学校の宿題などが置ける書棚があると、子供たちもダイニングやリビングで過ごすことが多くなり、必然的に触れ合う時間も増えてきます。


03/22
Fri
Category:設計仕事
ダイニングは多機能空間 02

ダイニングは多機能空間 02
居心地のいいダイニングには、家族に人数に相応しい空間が必要と書きました。
それともう一つ忘れてはいけないのが、すわり心地の良い椅子です。
カウンタースツールのような椅子では寛ぐことが出来ません。
ベンチなどもお勧めです。
TVが見られるのもいいでしょう、音楽が聴けるのもいいですね。みんなが揃える十分なサイズのテーブルや座卓にくつろげる椅子があれば、居心地のいいダイニングが出来そうです。
リビングとキッチンの関係性も大切ですが、間に挟まれると窓がとりにくくなります。大きくて開放感のある窓はダイニングにもほしいですね。設計上の工夫で開放感があり、明るいダイニングをつくりましょう。
プランニング段階で気を付けたいのはダイニングの場所です。
基本的には朝日が当たる場所をお勧めしています。
夜の食事も家族がそろうことが理想ですが、なかなかそうはいきませんね。でも朝ならば集まりやすいのではないでしょうか、一日の始まりは朝日が入る明るい場所で顔を合わせ、みんなで食事をしたいと思います。
キッチンとダイニングの関係を考えましょう。
○キッチンと一番一体感があるDKタイプを考えてみましょう。
生活感がすっかりダイニングにも現れるため、プライベート感が強い空間となります。調理に参加しやすくなりつくり手との一体感が強くなります。
キッチン機能と直結しているため便利ですが、来客を迎えるには不向きになります。
○カウンターで仕切られたタイプ
カウンターで仕切られてはいても顔の見える一体感のある空間になりますが、手元や調理家電、ごみ箱などが視界から外れある程度バブリックなダイニング空間になります。
また、ドアが無いカウンタータイプは家族のつながりや家事の手伝いも自然な流れの中で行え、一般的にお勧めしやすいタイプです。
○独立型のタイプ
キッチンとは壁で仕切られ、ドアがある場合無い場合がありますが、キッチンが直接見えず、調理している顔が見えないタイプです。
どうしてもプライベート感が出てしまうキッチンから独立することで、リビングに近いパブリック空間となります。
来客が多く、来客を食事に迎える場合に生活感が抑えられ好ましい場合があります。また、調理に集中したい方にも向いています。
最近多いアイランドタイプのダイニングキッチンも家族の距離が近く、手伝いのしやすい家族の関係が濃いダイニングになります。
どのようなタイプが適しているか、その家族の暮らし方により変わります。
ひとつ考えるきっかけとして重要なのは、どのくらいの関係の来客までダイニングに迎え入れるか、そこを考えてみるといいと思います。
ほぼ全ての来客はリビングまでと考えるならば、キッチン一体のプライベート感のあるダイニングでもいいと思います。
反面仕事の関係や、人を招いての食事を考えるのであればキッチント独立しているある程度フォーマルなダイニングも検討してみるといいでしょう。
お友達とお茶ぐらい。という一般的に多いパターンでは手伝いもしやすくて一体感もあるカウンタータイプが使いやすそうです。


03/21
Thu
Category:設計仕事
CO2貯蔵量認証制度

CO2貯蔵量認証制度なるものが埼玉県にはあります。
一定以上の埼玉県産材を使用した建物がどれだけCO2を貯蔵し、環境に貢献しているのかを、適正に評価し県産木材の利用を促進しようという取り組みです。
埼玉県が認証してくれて、県のHPに掲載してくれて、認証書が交付される。
以前からこの制度があるのは知っていましたが、なかなか書類作業が大変そうなので、近寄らないようにしてきました。
が、いろいろないきさつから、関係者も協力してくれることになり、「市ノ川の家」と「B/storage」の2現場の認証を取ることになりました。
年度で〆るので24年度の締め切りに間に合わせるためここのところあたふたしていましたが何とか今日発送できました。
やっぱり書類作業は大変でした、認証が通れば24年度では埼玉県で9件目10軒目になるみたいです。
建て主さんには埼玉県から認証書なるものが交付されます。
まあなんというか「社会的取組」というやつでしょうか。
「責任」とか「貢献」とか「期待」とか「協力」とか、実際の中身のわりに重い荷物を持ち運ぶようになったものだと思いますし、運ぶ鞄もかなり擦り切れてきたけれど、とりあえず他に入れるものもないので大事に運んで行こうと思います。
ときがわ木材さんには伝票整理協力いただきありがとうございます。

03/20
Wed
Category:設計仕事
そんなことって意外に楽しいですよね。

2012年の3月31日
さいたま市で木玩の家のお住まい拝見見学会を引っ越し後3か月目にやらせていただきました。
その時の写真です。
手前の頭が薄いのが私で何やら説明しています。
今日はこの時にいらしたご家族と再会しました。
川越で土地が決まり、具体的に家づくりを始めます。まだ私が設計者としてかかわるか決定したわけではありませんが、5.12磨き丸太をつくろうイベントにお誘いしました。
ただ単に楽しみのイベントではなく、家づくりを通して暮らしの中の思い出をつくっていただこうというイベントです。
目指しているのは、世代を引き継ぐ家づくりなのです。物理的な対応年数は優に100年は超えます。
それを競うのではなく、愛情を持ち、飽きることなく住み続けられる、壊したくない家を目指しています。
子供達に家づくりの記憶を、それが必要なのです。
以前はお話しする機会もなかったわけですが、今日話したらなんと私と同じ、ランナーで同じ大会に今シーズンだけで2大会出ていました。
ライバルですね。
少なくともその点において共通項がありました。
そんなことって意外に楽しいですよね。


03/19
Tue
Category:設計仕事
軟弱地盤の時の対処方法

政府の中央防災会議から南海トラフ沖地震の被害想定が今日公表されました。
死傷者32万人経済被害想定220兆円、全く想像できない数字ですね。建物全壊は238万棟、東日本での建物全壊は13万棟と言われています。
埼玉での被害も想定され、建物全壊は700棟に及ぶという結果でした。
主に軟弱地盤での建物被害が予想されるということですが、そもそもなぜ軟弱地盤での建物被害が多いのでしょうか、軟弱地盤では硬質地盤に比べ木造住宅を振動させやすい周波数の揺れが起こると言われています。
重いダンプが通ると地面が揺れますね。硬質地盤では速いテンポでガタガタゆれますが、軟弱地盤ではユサユサゆっくり揺れます。
これは地盤の性質によるものです。
建物には固有の振動周期があります。橋や鉄塔、ビル、住宅など構造や密度や重量により変わりますが、この固有周期が揺れと同調したときにその揺れが加速されより大きく揺れるようになります。
この現象が共振です。
たとえば振り子を少しの力で大きく揺らす方法は、反復する瞬間に押すことですね。ブランコもそうですねタイミングよく押してあげると揺れはわずかな力で加速され大きくなります。
軟弱地盤での被害が多いことから固有周期の関係で建物の揺れは硬質地盤より増幅されるのだと考えられています。
軟弱な地盤であることがあらかじめ判明している場合は、支持層(硬質な地層)まで杭を打ち建物を支持させることで、共振現象を軽減できます。
また、軟弱地盤を改良し硬質地盤に変え、地盤の揺れの周期を短くしてしまう方法も有効です。
硬質層が深い場合は地盤改良が有効です。


03/18
Mon
Category:石原の家
基礎工事の管理用写真

先日上棟した「優の家」
基礎工事の管理用写真です。見えなくなる部分はすべて記録しています。
基礎の形状はベタ基礎といい盤状の底盤により上部荷重を支えます。
現在では一般的に採用されていますが、地盤状況によっては不利になる場合もあります。
基礎底盤の面積全体で荷重を支えるため、やや軟弱な地盤においても布基礎に比べ接地面積が大きくなるため、単位面積当たりの接地圧が減少します。
それにより地耐力が低いやや軟弱な地盤においても建物を支えることが出来ます。
しかしながら、地中への応力範囲は大きくなるため、地中の硬質層が傾斜(元斜面の盛り土など)していたりすると、不同沈下の恐れが大きくなります。
また、圧密沈下に対しても基礎重量が大きくなるため影響が出る場合があります。
ところどころに見えるブロック状のものは地盤からの距離を確保するためにあり、底盤であれば6cm以上は必要です。地面に接していたり、地盤との距離が少ないとコンクリートのアルカリ性に守られず腐食の可能性があるので注意が必要です。

上端と下端に13mmの鉄筋が2本ずつ入り、中間に10mm、タテは10mmが@200であることを指示してある部分です。
立上り=梁であり、上部の荷重を受けるとともに地面からの反力も負担します。特に柱間では上向きの力を受け、梁上部は引っ張られます。この時に基礎が破断しないよう上端の引張に耐える鉄筋は重要です。
基礎は上部の力を伝達させるため一体で連続することが大切ですが、メンテナンスなどで開口部を設けることも必要になります。
そのようなときには上部の力を伝える補強筋としての斜材が必要になります。
現場ではおろそかにされることが多く、よく追加で是正をしてもらうことがあります。
全体的にレベルの高い仕事をしていただいています。


03/17
Sun
Category:野の花
構造検査も遅滞なく完了しました

東大宮「野の花」
第三者機関の構造検査も遅滞なく完了しました。
上の写真は妻面(屋根の下の三角のところです)しつこいくらいに縦・横・斜め・に構造材は入れられています。
大工さんには苦労していただいております。
近年では小屋裏部分の使用が2階の面積に1/2まで許容されるようになり、小屋裏の使用が増えています。
私の設計でもほぼ全ての家に小屋裏の空間があります。
1/2まで許容されるにも関わらず構造計算までは確認時に要求されません。つくる側の良識に任せる。とい状態です。しかしながら1/2の面積に沢山の重い荷物を入れられてしまうかもしれません。将来の住まい方まではこちらでは把握できません、また小屋裏を使うと空間をすっきり見せるため、本当は必要な小屋筋交いや、雲筋交いを取ってしまうことがよくあります。
見せたくない、入れたくない所は確かにあるのです。ではどうするか、目立たない場所に入れるしかないですね。
どこでもいいわけでは無いので場合によっては室内に露出することもよくあります。

上の写真は斜めの火打ち梁といいます。
床面の水平剛性を高める役割があり、床の面積に対して一定以上の本数が必要になります。一定以上とは床の剛性がどの程度必要かで決まります。
また、最近では床に厚い構造用合板を張ることがよくありますが、そのような工法の場合は、この火打ち梁は省略できます。
構造用合板は水平剛性を高めるには最適な材料です。
今回のこのお家では施主のアレルギーの不安から、一切の合板は使わない計画です。


03/16
Sat
Category:設計仕事
1970年築のお家の耐震診断

先週14日は新築の上棟日(優の家)でしたが、午前中は1970年築のお家の耐震診断で現地調査をさせていただきました。
1970というと私が10歳
基準法は1964年の新潟地震と1965年の十勝沖地震(M7.5)の被害を受け、1971年に改正されています。
1971年の改正されたのは、ベースがある布基礎にしましょう。というもので、石建てやベースの無いいわゆる建築用語でいう(ロウソク基礎)はだめですよというもので、まだ鉄筋を入れることは基準法上も定められていません。
基礎に鉄筋を入れるように改正されたのは、意外に新しく、1978年の宮城沖地震(M7.4)以後になります。
この日の調査でもやはり基礎には鉄筋が使われていませんでした。この調査はコンクリートを破壊せずに中の鉄を探知するセンサーにて行います。
センサーを使用すると鉄筋の太さまではわかりませんが、縦横のピッチまで測定することが出来ます。

上の写真は小屋裏の金物確認です。
羽子板金物(桁と梁の落下防止)は使われていますが釘が4本使われているだけでボルトが見えません。
大きな揺れで仕口が破壊されれば、4本の釘だけで梁を支えるのは無理ですがこの当時では一般的な仕事です。
まだこの当時の大工さんたちは金物は使わなければいけないということを承知はしていても、自分たちが刻んだ仕口が破壊されるとは考えてい無いことが一般的です。
下の写真は棟木と隅木を受ける束で、ちゃんとカスガイ金物が使われています。
筋交いも確認できましたが、金物は使われていませんでした、金物が無い筋違だと圧縮側の力には効きますが引っ張られると抜けてしまいます。
建物の弱点を見つけて補強提案を出しますが、難しいのはどこまで補強するべきかの判断です。現行基準に合わせるのではとっても大変です。
壁も構造用合板などで強くはできますが、やたらに強くしても、今度は弱い場所に力が集中してしまいます。また、強い壁が受けた力は基礎に伝えなければいけませんが、伝える前に土台と柱が抜けてしまったり、基礎が耐えられなかったりします。
バランスよく、程々の補強、あいまいな言い方ですが、大地震の時に命を守るには最低限どうすればいいのか。
全て万遍なく改修するのが理想かもしれませんが現実的にはポイントを絞ることが大切なのだと思います。

03/15
Fri
Category:石原の家
特に住まいの場合は。

今日は川越市 「優の家」上棟です。
今日でよかったですね。昨日の風では大変でした。
青い空のもと骨組みが組みあがりました。
上の写真は桧の通し柱135*135に杉の梁が納まっているところです。
下はいつも納めるのに苦労する登り梁、斜めの部材ですが上から垂直におろしてこないと入りません。
されに横からは母屋もは入ってくるので苦労します。

きれいに納まりました。
切妻屋根の時に妻側を登り梁で納めるこの方法をたびたび採用しています。
この方法は若干の材料費と屋根を納める手間暇がかかってしまいますが、小屋の構造(桁から上の三角形)の剛性が抜群に上がります。また、意匠的にも母屋が軒天井下に飛び出さないので屋根面がすっきり見えます。
太い材を使っているのに屋根が薄く見えてきれいなのです(私の感覚として)
一般的かと言われればあまり見ないのでそうではないのでしょうね。このような部分は自己満足と言われれば確かにそう。建て主が望んだものではないのですから、ただ言えるのは、要望された事だけを具現化していたのでは設計の存在意味は無いのです。
そこに住む家族のための小さなこだわりの連続が全体に広がるのです。主義主張は奇抜な形や色で表現するのではなく、そこはかとなく社会にこぼれるぐらいがちょうどいいのだと思います。
特に住まいの場合は。


03/14
Thu
Category:市ノ川の家
楽しいことを循環していきたいですね。

先日のお住まい拝見見学会
市ノ川の家お引越し3か月目
埼玉新聞に掲載されました。
ちょっと残念なのは
「地域の木材を使った家を提案する川越市の設計事務所が主催した」というところですね、やっぱり新聞に名前を出させるのは犯罪以外はなかなか載りませんね。
長谷川さんと田中さんはしっかり名前が出ていました。
あちらが名前を掲載させてください。と言ってくるまでしつこく頑張ります。
しかしながら地域材を使った家づくりが行われていることを一般の方々に知っていただけることに新聞の価値はあります。
家は買うのではなく、地域の材料で地域の人間がつくるものだ、それがよりよい家づくりなのだと多くの人に気が付いてもらいたいものです。
地域の山の木を使うと地域の森林に親しみを持つようになり遊びにも行く、そうすると山林も活性化するし、林業も楽しくなり、山林も守られる。
楽しいことを循環していきたいですね。


03/13
Wed
Category:ねこ
最近仕事で知り合いなった猫たち

まだ子供、意外に強気は捨て猫根性!今は幸せ

めったに鳴かない。
過保護にされて生意気!足がぶっとい

写真は苦手なんだよな!ってかんじ、毛がふさふさ

御年寄りでいろいろ達観しているので警戒心も捨てました。
なぜか最近は仕事先で必ず猫と知り合う。
向こうは知り合ったとは思ってないだろうけど。

03/12
Tue
Category:設計仕事
典型的な田の字プランに土間

改修計画のお話しを伺いに桶川市までいきました。
この子のお家
少しだけ将来の介護を見据えた改装なんですが、典型的な田の字プランに土間
今の基準ではまたく評価できない耐震性だけれども、2年前の地震ではほぼ無傷、適当に揺れて力を逃がしているのでしょう。
このような建物は逆に構造用合板やホールダウンで部分的に補強しても意味が無いと思うのです。
柔の建物に現代の剛の考えを押し付けることはできません。

建築は昭和初期まだ布基礎という考えが無く、簡易的な基礎状のベースが見えます。
束に柱建てから布基礎への移行期なので土台はあります。
この土台も昭和初期からこのまま、持つんですよね。
土台上で市漆喰が落ちて泥が崩れています。こうなるとこの部分が湿気を呼び込み腐食が始まります。
さてここはどうしましょうか。
ベストは泥壁を一度落とし、再度漆喰仕上げでしょうが、杉板張りとするかもしれません。
下の写真は台所の土間
日常の台所は別にありますが、人寄席や何かの折にはまだまだ現役の台所です。

こちらは流しです。古いのは古いけれど大事に使われて現役であるのがわかります。
農家なので泥のついた野菜などを洗うには適しているのでしょう。
台所回りはまだまだ現役、直すところはありません。

昭和中盤の私には昭和初期の風景は懐かしさを感じるというよりも新鮮です。
なぜか最近改修のお話を多く受けます。
今週はもう一軒、1970年築の耐震診断があります。

03/11
Mon
Category:設計仕事
ダイニングは多機能空間 01
ダイニングはリビングよりも家族の距離が近い場所です。
また、住まいは人が集う場所、人が集えば食の場が生まれ、みんなで食べる時間は楽しくて幸せな時間です。
何でもおいしく感じる楽しいダイニングが出来ればいいですね。
現代の暮らし方ではダイニングがとっても重要な場所になり、食事だけでなくたくさんの家族の物事が行われています。

ダイニングに最低限必要なものは家族全員が集える、空間的な大きさと、座卓にしろ、テーブルにしろ、人数分の食事が揃えられる大きさのテーブルです。
「食生活の豊かさ」と言われ何をイメージするでしょうか、新鮮な食材や、多種多様な料理を思い浮かべるかもしれません。確かにそれも豊かさのイメージですが、「暮らし」から考えたときに豊かさとは、「家族がともに食事をする」ということではないかと思います。
みんなで食べるとおいしいね。
それを実現するのに最低限必要なのは物理的なサイズです。
「食べる時間が違うし、カウンターだけでいいや」はかなり特異な形態です。
日本にダイニングという言葉が生まれ、認識されるようになったのは1960年以降のことです。
歴史は浅いのです、それ以前ダイニングの機能は「茶の間」と呼ばれ、食事だけではなく家族の居間を兼ねたくつろぎの場所でした。
その後、各部屋の機能を独立させる欧米系の考えが導入され、茶の間は食事をするダイニングと、くつろぎ来客も迎えるリビングにと分離されました。
くつろぐ場所としてのリビングの定義により、ダイニングはただの食事の場所と捉えられるようになり、ダイニングはただ食事をするだけの場所として居心地のあまりよくない空間になってしまいました。
また、便宜上キッチンの空間を広く取り、その中にダイニングテーブルを置くプランも多くみられました、配膳など便利な部分もありますがどうしても雑然とし、くつろげる場所には向きません。
楽しくみんなが集うダイニングは長居が出来て、食事以外でも楽しめる多機能な空間にするべきなのです。
そう考えるとダイニングとリビングを明確に分ける必要もなく、無理にソファーを置いてリビングを演出することも無くなるかもしれません。
くつろげて長居が出来るダイニングを考えていきましょう。


03/09
Sat
Category:市ノ川の家
小さな床の間にお似合いのお雛様が迎えてくれました

小さな床の間にお似合いのお雛様が迎えてくれました。
今日は「市ノ川の家」
お住まい拝見見学会 引っ越し3か月目ですが公開させていただきました。
お住まいのお家なので予約制での開催ですが、スタッフもいれると30名ぐらいの盛況でした。
みなさん花粉の厳しいこの時期にありがとうございました。
使う材料の性質上実際の生活の場を見てもらわなければ後で思い違いが起こることがあります。
柱や梁の割れであったり、漆喰や和紙の汚れ方や傷など、本来住まいには最適な素材だと思うものが、一般的ではありません。
おもに1960年以前に普通に使われていた素材ばかりです。
工業化製品、化学製品を拒否しているわけでは無く、よりベターなもの、という考えで選んでいった結果なのです。抗菌処理であるとか、防炎加工であるとか、劣化しないとか、傷がつかないであるとか、落書きが拭ける、であるとかあまり重要なことではないと思うのです。
朽ちていくものは朽ちていくし、経年変化は人間と同じなのだから受け入れればいいのです。
人は上手にリニューアルできませんが、建物は意外にリニューアルで見違えります。
今日はまるでスイッチを誰かが切り換えたような季節の変化でした。
川の流れのように流れていく自然現象と同じく、家をつくり、公開し、少しずつ知り合いが増え、家をつくらせていただいています。
来年の今頃も同じことをしていたいと思うとそれなりのエネルギーを常に蓄えていなければいけません。
そのエネルギーは自分の基礎体力に依存することが大きく、健康でなければなしえないのです。
だから明日は自転車の日、4月のレース・ツールド八ヶ岳に向けたトレーニングです。


03/08
Fri
Category:市ノ川の家
明日はお住まい拝見見学会

明日はお住まい拝見見学会なので資料をつくっていた。
言葉がどうも上手に使えない私は必然的にビジュアルに頼ることになり、このようなものをつくって補おうとしてしまいます。自分の内側に目を向けて深い井戸を覗き込むようにしても説得力のある言葉は何時も見つからないし、そこに見えるのはいつもながらの私の性格でしかなく、永い間この性格と付き合っています。特に好きでもないけれど愛着のようなものはこの年になると感じています。
というわけで、こんなものも簡単にできればいいんだけどなかなか時間がかかります。
でもきれいにできたからよかった。
実はこんなことも好きな性格です。
設計という職業もいろいろ雑用があって設計という本来必要な時間が以外にとれなかったりします。
設計したくても設計だけしてたら設計させてくれる人と出会えないし、人とつながることは大事なことです。あしたはどんな人に出会うのか楽しみです。
今週はこんなことやあんなことや沢山あって忙しかった。って明日もだけど。
まあ、時間があっても走り過ぎて足を壊したりするだけなので適度に忙しい方が健康でいられます。
あしたはたくさん来てくれるといいな!
お住まい拝見見学会


03/07
Thu
Category:NPO
「NPOあいアイ」さんとアレルギーサークル「のいちご」さん

NPOあいアイさんに
用途変更と耐震改修の件でお話に伺いました。
何時も素敵な絵があります。絵で収入を得ることができ、自立助けになることを目指しているNPOです。
絵だけで売れるのはまだ一人二人です。それでもすごいことだと思います。
お茶のパッケージや、竹炭のパッケージ、団扇や、絵ハガキ、お面などいろいろなものに絵をかいています。
一度みんなの絵を見ていただき、コレボレーションが出来る方がいればお声掛けください。
今川越市役所の階段ホールがみんなのギャラリーになっています。
仕事の話以外ではアレルギーのママさんサークル「のいちご」さんが応援している重度障害のママさんたちの映画「普通に生きる」を「のいちご」さんからの依頼であいアイさんにご紹介しました。
「お母さんたちが、頑張ったんだね、みんなにも紹介しておきます。」
人と人でつながるしかない情報は手渡しがよいのです。当事者の方、応援する方の気持ちがつながります。
映画はさいたま市で上映されます。
5月18日です。
「のいちご」さんのwebからお申込みください。


人物画
いつもブログチェックさせていただいてます。
この絵は息子が描いたものです。
だいぶ春めいてきましたので、まったりと
サイクリングでもしましょう。
by iwasaw
03/06
Wed
Category:市ノ川の家
家づくりを少し昔に戻した方がいいと考えています。

引っ越して3か月目ご厚意に甘え
お住まい拝見見学会
開催します。
市ノ川の家
3月9日(土)13:00~15:00
予約制なのでメ―ルにてお問い合わせください。
詳細をお送りいたします。
昔から使われている安心できる材料を今の技術で使います。(漆喰・杉・和紙)
家づくりを少し昔に戻した方がいいと考えています。
また、楽しい団欒の有り方を提案しています。


03/05
Tue
Category:建物
現役ノコギリ屋根発見!

ノコギリ屋根
現役ノコギリ屋根発見!
入間市あたり
縫製工場です。ノコギリ面には窓が見えます。急こう配の方が必ず北面になりさいく窓を取ります。
作業所や工場の屋根として昭和の時代は多くみられました。
北側採光は終日安定した光が得られ、照度の変化も少なく、熱的にも有利になります。
住宅でもアトリエや書斎、勉強部屋、書庫などは北採光が望ましい。
温度変化はエアコンで調整し、照度変化は高性能ガラスで対応する。今だから可能なことでしょうが、よりエコロジカルに生きようとすれば基本を思い出してみることも大切です。


03/04
Mon
Category:市ノ川の家
先日伺ったらてるテル坊主が下がっていました

ステンレス金物とヒノキ板です。
落下防止の窓手すり兼布団干し
他であまり見ませんから、アーキクラフトの建てものの特徴のひとつかもしれません。
普通バルコニーが無いと2階の窓は床から1.1mほどの高さを確保します。1.1mは公共建物でも規定されている落下防止の手すり高さです。
でも部屋によってはもう少し大きな開口部がほしい場合や、窓の高さを下げたい場合があります。
そのような場合は安全の為に手すりを付ければいいわけですが、室内につけるのは邪魔です。カーテンとの相性も良くないですね。
というわけで外に付け、布団も干せるように考えています。
窓から布団を垂らすと壁で汚れます。
窓から布団を手すりにかけてもらえれば、壁面に布団が付かないので汚れが防げると考えています。
庇が無いところには耐久性の問題があるので付けませんが、庇があっても外部なので一生使えるとは考えていませんので裏からビスで取り外し、交換できます。
先日伺ったらてるテル坊主が下がっていました。グッドな使い方。
昨日に続き物干しシリーズでした。


03/03
Sun
Category:B/strage
じゃあ網戸付ければいいよね。

玄関ドアを開けると風が入るのに網戸が無いから開けられない。
じゃあ網戸付ければいいよね。
3.11以前であれば玄関ドアに網戸を付けようという発想はありませんでした。
ハンガーレールの木製網戸、両側引き込みとしました。
先日の石川家洋館のようにドアの網戸では不便ですから、引き込みとしましたが、間取りによっては引き込みスペースが無いとできません。
また既製品のアルミドアではドアクローザ―の関係などで難しいでしょうね。
今回も簡単そうに見えますがそれなりに苦労しましたし、鴨居とドア枠の関係など木製建具を扱いなれていない施工者ではうまく行きそうにありません。
データ
網戸:杉柾目框/見込30mm/ナイロン黒2.0mm押し縁押さえ/引手:ステンレス掘り込み/ハンガーレール下部ガイド付き

上:坂戸B/storageの内側引き分けタイプ=平成25年製
下:石川家西洋館の木製網戸外開きタイプ=大正12年製


03/02
Sat
Category:B/strage
たかが物干しされど物干し

バルコニーの「物干し金物」ではなく「物干し木」
もちろんセットでついています。
一般的にはアルミとかのいわゆる「物干し金物」が付くのでしょう。
物干し金物がどんなものが付くのか特に説明した覚えもないし、建て主さんはアルミが付いていてもたぶん文句は言わないと思う。
こちらがそうしたかっただけのある意味自己満足の部分で勝手にやってます。
上は「市ノ川の家」ナザト式
下は「B/storage」フクダ式
としておきましょう。
どちらも材料費手間とも同じぐらい、そもそも一セットいくらかと聞かれても困ります。
見積もりにないので・・・・
高橋さん、飯田さん、いつもいつも素敵な物干しありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
でも竿までは用意してありませんよ。
要求されれば用意しますが、ステンレスにはならないでしょう。
竹とかでよければ・・・・


03/01
Fri
Category:B/strage
天井高さは1.4mです。

B/storage
ロフト
天井高さは1.4mです。
2階建てと認められる限界の高さです。これ以上高いと3階建てになります。
2階と3階、どこまでが2階でどこからが3階なのか、床があるレベルをすべて階になると考えるとこれも3階です。中2階といって1階と2階の間に床がある場合もあります。その場合は何2階建て、3階じゃないの?
建築基準法では1.4m以下の天井高さであれば階としてみなさないとあります。
1.4mとは居室として成立しない、生活できない高さという意味もあります。個室がほしくなる子供の年齢でも1.4mは低いですね。
もう一つの規定は下階の床面積の1/2以下でなければいけない。という規定もあります。
それ以上であればたとえ1.4mの天井高さであっても3階建てです。
建物重量に関しても床面が増えれば積載荷重が増える可能性が大きく、通常の2階建てとは地震力の受け方なども変わります。
部屋としての機能が必要であれば1.4ではとても足りませんので、それ以上を計画すればいいのです。
問題は3階建てになると用途地区によっては厳しい規制を受けること、2階建てでは要求されない構造計算が求められること、防火の規定が変わることなどがあります。
また、当然建築費にも関わってきますね。
居室のプラスアルファーとしての空間と捉えれば、1.4mで十分楽しく便利な空間が出来上がります。

この写真の窓があるところの真下は床が有りません。つまり床からの高さが無い場所なので1.4mに縛られることは無いという法律を解釈し、窓位置は1.4mより高くしています。
どこの検査機関でもOKかどうかはわかりませんが、確認でも、完了検査でもOKでした。
そんなことが楽しかったりもいたします。


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